こぎん刺しをやっていてすごいなと思うこと。
そのひとつが、柄を無限に生み出せることです。

どのモドコ(図案)も、デフォルメが美しかったり、面白かったり。
ひとつだけ刺すのも好きだけど、
いくつかのモドコを合わせたり、重ねたりすると、
その魅力は無限に広がっていきます。

幾何学模様といってしまえば簡単。
でも、単に直線や円を重ねて生まれるものが無機的とたとえるなら、
こぎんのパターンはとても有機的に思えます。

それはきっと、モドコに名前と意味があるからに他なりません。

五月にフリーペーパー『けるくるーる』を作ってから、
こぎんやモドコや津軽のことをいろいろ書いています。
エッセイ、豆知識、小説、俳句。

一人で書いているのではないのですが、
自分で書くときも、誰かに依頼するときも、
モドコのもつ物語がこぎん刺しを楽しむポイントなんだと力説します。

それにしても、モドコとモドコを合わせて生まれるパターンの多さよ。
時々くらくらさせられます。

たった一目の合わせ方が異なるだけで、全く違う雰囲気になるのです。
同じモドコを並べただけなのに、
四つの角が集まったら、そこに初めて見る模様が突如現れたりするから、
まったく気を抜けやしません。

モドコひとつひとつを眺めながら、
重ねるとどうなるか、合わせたり並べたりすればどうなるか、
想像しながら糸を選んで始めます。
刺しながら、思いついて違うモドコを交えてみたりもします。

その並べ方が気に入ると、いくつものモドコでやってみたり、
糸の色の使い方を変えてみたりします。
するとまたまた雰囲気がガラリと変わる。

試行錯誤も多いですが、
一段ごとに柄が生まれていく面白さはひとしおです。

絵糸の作品はどれもオリジナル一点ものをうたっていますが、
刺しても刺してもきりがない、というのがホントのところかも。

本当に奥が深いぜ、こぎん刺し。

Written by eitowpusr